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京都新聞別刷 2025元日特集「文化がつくる未来」に掲載されました

京都新聞別刷 日本人の忘れもの知恵会議
2025元日特集「文化がつくる未来」に掲載されました

【できる方法を、できる方向で、実行・行動する】

 少子高齢化。現在の日本においては強烈な事実である。これを解決する策は地方にも民間にもほぼない。どう付き合っていくか?というのが取り得る選択肢ではないだろうか。
 福知山市は北近畿の中心的地方都市で、人口7万5千人ほどだ。最盛期に七つあった商店街は四つに減った。福知山フロントは100%民間出資のまちづくり会社で、残った四つの商店街のうちの一つ「福知山駅正面通り商店街」の実行部隊的な位置付けである。

 商店街そのものの高齢化、かつ「シャッター通り」化を憂いたのが、当時の商店街振興組合の理事長と専務。「旧来の商店街組織だけでは意思決定も行動力もスピードが上がらない、会社を立ち上げて若手を取り込もう」と集まった設立メンバーは8人。発起人である二人の重鎮と商店街振興組合、そして商工会議所青年部員が出資者だ。
 設立から今年で10年目。全員が無給のボランティア。ヘトヘトになるまで行動して成果を実感し、「楽しかった〜!次何しよっか?(笑)」の繰り返し。ただただ行動してきた。空き家の持ち主を訪ねては貸してもらうように話をし、何かしたいと考える若者には出店を打診、費用も市・府・国の補助を頼りながら、シャッターが閉じられた店舗を1軒ずつ再開させていった。ハード面では出店サポート、ソフト面ではさまざまなイベントを行って援護するのも特徴の一つ。今年は既に7回「FarmersTables」という地元のイイ物がそろうイベントを行い、ブランド化しつつある。現在は「大阪・関西万博への出店」を目標に掲げるほどだ。

 高齢化と人口減少により寂れた商店街を立て直すため、街の顔役である重鎮二人が一念発起した。次に、商店街の営業者で、商工会議所青年部に所属する元気なメンツを集めた。さらに、若手チームを重鎮二人が後押ししてくれた。そして、コロナ禍でもエネルギーを絶やさなかった。結果、現在店舗を誘致するに至っている。新規出店者が商店街に入会して組織が活性化し、商店街理事会の若返りを果たした。出店時に商店街への加入をルール化したことが功を奏したのだ。
 この度、経産省の「地域にかがやくわがまち商店街表彰2024」を受賞するに至った。できる方法を、できる方向で、意識共有して、とにかく実行する、行動する、ということをやり続けた結果だ。できない理由を並べる会議では、ここまでたどり着けなかった。若手だったわれわれもすぐに老兵になる。課題は、次の若手を早く開拓することだ。そうでなければ、また同じ事の繰り返しである。

杉本潤明(すぎもと・みつあき)
福知山フロント 代表

1975年福知山市生まれ。福知山フロント観光㈱代表取締役。福知山の総合アミューズメント企業の代表として事業を展開する一方、地域活性化を目的に同社設立に携わり、2024年より現職。
空き店舗へのテナント誘致やイベント開催を通じて、地域の魅力を引き出し、持続可能な未来づくりに尽力している。

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